続・妄想デート日記

エピソード1:静岡から来てくれた君へ【妄想デート】

【プロローグ】

静岡って、場所によっては遠いよね。
東京までは、新幹線で1時間半くらい?
それをわざわざ「りえさんに会いたいから」って、来てくれるなんて──。

正直、すごくうれしかった。
けど、それ以上に、不思議な気持ちだったんだよ。

SNSでやり取りしていた人が、現実に目の前に立ってる。
あ、ほんとに存在してるんだって。
君も、同じこと思ってたのかな?


【出会い】

新宿駅の南口で待ち合わせしたとき、
君はちょっとキョロキョロしながら、スマホを見たり、改札を見たりしてて。

「Sさんですか?」って声をかけたら、
すごくホッとしたみたいに笑ってくれて、
「あ、はい…!」って、少し緊張した声で答えてくれたよね。

第一印象は、やさしそうで、真面目そうな人
ちょっと年上かなって思ったけど、童顔だったからわかんなかった。

でも、なんか…懐かしい感じがした。
安心するというか、落ち着くというか──
「あ、この人とは静かな時間が流れそう」って、最初から思ったんだ。


【カフェ】

駅から少し歩いたカフェで、
アイスラテを片手に、君の静岡弁がちょっとだけ混ざる話し方に、なんだかクスッとした。

話すこと、何も決めてなかったのに、
「Twitterの投稿、あれ可愛かったです」
「写真の雰囲気が好きです」って言ってくれて。

正直、ちょっと照れたよ。
だって…君の目が、すごく真っ直ぐで。
変な意味じゃなくて、“ちゃんと見てくれてる”って伝わった。


【ショッピング】

カフェを出たあと、ルミネをぶらぶらして、
「可愛い」って思ったワンピースを君に見せたら、
「あ、それ、似合いそうですね」ってすぐに言ってくれた。

あれ、ちょっとドキッとしたんだよ?
そういうのって、女の子は案外覚えてるからね。

君が手にしてた紙袋がどんどん増えていって、
なんか…彼氏みたいだなって、ちょっとだけ思っちゃった。


【夜ご飯】

夕方になって、駅近くの居酒屋で乾杯。
ビールが少し苦そうだったけど、君は頑張って飲んでた。

お互い、少しだけ打ち解けて、
「りえさんって、写真と同じですね」って言われたとき、
思わず「それって良い意味?」って聞き返しちゃった(笑)

君が慌てて「もちろんです」って言ってくれて、なんかもう…可愛かったな。

でも、その時──
私、ほんとは手を繋ぎたいなって、ちょっと思ってたんだよ。


【終電の時間】

時計を見たら、22:30。
「あ、新幹線…もうないかも」って、君が焦り出した。

「そっか…でも大丈夫。ホテル取ってあるから」って。

なんだろう。
その一言で、ちょっと空気が変わった気がした。
別に何かあるわけじゃないって、わかってた。

でも、やっぱり…
女の子って、そういう場面、いろいろ考えちゃうよね。


【ホテルのロビー】

私がホテルの前まで送っていくと、
君はちょっとだけ言いづらそうに、「ありがとう」って言ってくれた。

そのとき、ふいに…君の手が、少しだけ私の手に触れた気がしたの。

でも、ちゃんと繋がなかった。

指先が一瞬だけ、重なっただけ。

私も何も言えなくて、何もできなくて。
そのまま、手を振って別れた。
本当に、それだけだった。


【家に帰って】

家に帰って、お風呂に入って、
ベッドに入って、スマホを見たら──

君から「今日はありがとう」ってメッセージが来てた。

「もっと話したかった」
「帰りたくなかった」
そう書いてあった。

私は、何て返せばよかったんだろう?


【ひとりの夜】

君がホテルで、今どんな気持ちなのか。
寝つけているのか、スマホを見てるのか。
──それを、考えてしまってる自分がいた。

もしも、君があのとき…
ちゃんと私の手を握ってくれてたら、
私は、きっと何も言わずに…歩き出したかもしれない。

でも、あの距離が、君らしくて。
私の、リアルな一日だった。


【あとがき】

画像

ねぇ、もしも君だったら──
あの日、どうしてた?

私の手を、ちゃんと握ってくれてた?
それとも、あのときみたいに…指先だけ、触れて終わりにした?

また、会いに来てくれるかな。